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ケルン大聖堂について
ケルン大聖堂とは

ドイツ西部の都市ケルンにある「ケルン大聖堂」は、世界最大のゴシック様式建築物です。
カトリックの教会で、正式名称は「聖ペテロとマリア大聖堂」。
初代の大聖堂が建てられたのは4世紀で、歴史的に見ても「世界最古の聖堂」の一つと言われる由緒正しい教会です。
現在の大聖堂は建築物としては3代目。
建築が始まったのが1248年、完成が1880年、つまり完成まで600年以上を費やし建設が行われました。
「なかなか完成しない大教会」といえば、多くの人が、スペイン・バルセロナの「サグラダファミリア」を思い出すことでしょう。
そのサグラダファミリアでさえ着工から完成まで140年かかったことを思えば、多くの紆余曲折を経つつも代を重ね、何時の日か完成させるのだと努力したケルンの人々の強い信仰心、あるいは執念のようなものを感じずにいられません。

このケルンの魂というべき巨大教会は、尖塔の先まで実に高さ157mもあり、完成から4年間は世界一の高さを誇る建築物でもありました。
世界遺産としての景観を守るべく、大聖堂の周辺では建築物の高さ規制が敷かれているため、現在でもケルンの市内で際だって大きい建物となっています。
ケルン郊外からも分かるその姿は、ほかの建物全てを睥睨して、まるで大聖堂だけが巨人の国から移されてきたかのような威容です。
ケルン大聖堂の見どころ
荘厳な外観
大聖堂の見所は、まずはなによりその外観です。周囲は歩きやすいように歩道が整備されていますのでゆっくり回ってみましょう。
大聖堂の大きさにも圧倒されますが、さらに目を引くのは、教会壁面の随所にちりばめられた見事な彫刻です。


聖書にちなんだ場面を表したものや聖人たちの肖像など、くわしく由来を知らなくても、その緻密さに驚かされます。
建物側部に何本も張り出した「フライングバットレス」(建築物の構造を支えるため外壁の外側に設置される柱)は、石積みのみで巨大なケルン大聖堂を支えることの困難さを伝えてくれます。
建築開始当時、もっとも先進的だったフランスのアミアン大聖堂始め多くのゴシック建築のデータを集めて建設されたこの大聖堂。
往時の様式に従って左右対称、上から見ると十字架の形に建設されているはずなのですが、余りに巨大なため外からではその対称感が全く伝わってこないところも楽しめます。
大聖堂の正面には、尖塔のてっぺん部分の原寸大レプリカも置いてあります。

これも最近作ったものではなくて、19世紀、大聖堂完成を記念して作られたものという「歴史的レプリカ」です。
大聖堂隣には、大聖堂建設時に出土したより古い時代の出土品が展示されてもいます。
古代ローマのレリーフなど、こちらも見応えありです。
夜には大聖堂自体がライトアップ。
ただでさえ威容を誇る大聖堂が、夜の闇の中光に包まれている姿は、まるでケルンの町から浮き立っているようで幻想的です(ケルン中央部から離れてみると特に美しく見えます)。
東方三賢者の聖遺物
ケルン大聖堂には数え切れない程の宝物が収蔵されていますが、その中でも、もっとも有名で価値があり、ケルン大聖堂を権威あるものにしているのが、「東方三賢者の聖遺物」です。
東方三賢者(三博士)とは、新約聖書において、星を鑑てイエスの降誕を知り、聖母マリアが滞在中の馬小屋に駆けつけてその誕生を祝ったとされる偉人たちのことです。
三人がイエスに捧げた黄金、乳香、没薬がクリスマスプレゼントの起源とも言われます。
その三人の遺骨が収容されている「黄金の棺」が大聖堂の奥に安置してあるのです。

そんな歴史的遺物中の遺物を「無料」で看ることができるのですからありがたい話です。
触れる程近くには寄れませんが、それでも一見すると可愛らしいお家の形をした、それでいてまばゆいばかりの黄金作りの豪奢な棺は歴史的価値と相まって見る者を圧倒します。
尖塔
高さ157mを誇る尖塔。
実は登れるんです(有料)。
すべて螺旋階段という苦行ではありますが、ゆっくり自分のペースで登りましょう。
本来、鐘楼の鐘を鳴らす人が使うためだけの階段なので、大聖堂のサイズに対してはとても狭い階段です。
ただ、道中道中窓が開いていて、下からでは見づらかったバットレスの上部や彫刻などを一部確認できるので飽きることは・・・
やはり延々とグルグルと登りますので、気が遠くはなるかも知れません、
登り切った終点
157m地点まではさすがに行けないのですが、尖塔の屋根裏部分(といってもこれがまた広い)は観光用に整備され、大きな窓の下にはケルン中央駅のホームが見えます。
さらに、別の窓からはケルンの意外が一望できます。
鐘楼の鐘を間近に見ることもできます。
階段を登った苦労からか、その高さを実感できるからか、「ようやくケルン大聖堂に来た」と実感させてくれる場所となっています。
ステンドグラス
ケルン大聖堂には、13世紀から16世紀に製作された古いものから、19世紀の完成時以降に寄贈された比較的新しいもの、そして今世紀に入って作られた最新のものと、様々な時代のステンドグラスが飾られています。

その多様な時代背景を受け、植物や幾何模様をモチーフにした質素なデザインや、定番の聖人・聖書の場面を示したデザインから、はては色彩によって信仰や神の権威を示すと言った芸術性の高いものまでいろいろと見る者の目を楽しませてくれます。
ケルン大聖堂での注意点
基本的に入場は無料ですが、あくまで地域の人々が礼拝に訪れる神聖な「祈りの場」です。
大声を出したり、走り回ったりすることは当然NG。
特にミサが開かれている時間は(そんなときでも入場させてくれるのですから)礼儀正しく、邪魔しないように心がけたいものです。
写真撮影は可能ですが、フラッシュ、動画撮影はNGです。
入場時間は午前6時頃からですが、閉門時間は季節により異なります(夏9時頃まで。冬7時半頃までが目安ですが「教会」なので変動はあるようです。遅い時間に行く人は訪れる前に確認を)。
尖塔内部への入場は有料です(大人4ユーロ)。また健脚な人でも往復1時間はみた方がいいでしょう。
階段も狭く滑りやすいので注意。特に往復一緒の階段なので、大柄な人とのすれ違いに注意しましょう。
アクセスは、鉄道の場合ケルン中央駅から1分かかりません。隣です。
レンタカーの場合は、大聖堂前の広場の地下が公共の有料駐車場になっていますので、ここが便利です。
大聖堂ですので公衆トイレはありません。
近くにカフェやファストフード店などがありますので、何か購入するか、親切で使用許可が貰えればそこを使うのが近いです。
ケルン大聖堂のオススメ度

わたしのオススメ度 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 9点/10点
ケルンやドイツという枠を超えた、大聖堂中の大聖堂です。
ここを見ずに大聖堂を語る無かれと言う著名度に加え、数々の美術品、聖遺物、巨大建築と、特にキリスト教やヨーロッパの歴史に興味がない人でさえそのすごさには圧倒される事でしょう。
それが原則無料で見られるというのですから、ドイツ西部を旅して、ケルン大聖堂をパスする理由がありません。